東洋医学では、体の中を「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つが巡っていると考えます。
この3つが足りなくなったり、滞ったりせずに、体のすみずみまで巡っている。それが、健やかな状態だと考えられています。
なかでも「気」には、血や水を押し流す大切な役割があります。気の巡りが鈍くなると、血や水の流れも悪くなり、体のバランスが崩れていく。これが東洋医学の見方です。
「なんとなく調子が悪い」「症状はあるのに、病院の検査では異常がないと言われた」。そんなとき、「気のせいですよ」と言われたことはありませんか。
「病は気から」ということわざは、辞書では「病気は気持ちの持ちようで、良くも悪くもなる」という意味です。けれども、気の巡りから考えると、「病気は、気の巡りが滞ることから始まる」とも読めるのではないでしょうか。
鍼やお灸は、肌に適度な刺激を与えて、滞った気の巡りに働きかけます。気・血・水の巡りを整えて、体が本来持っている力を大切にする。それが、鍼灸の考え方です。
東洋医学には「未病治(みびょうち)」という言葉があります。「未(いま)だ病(や)まざる病(やまい)を治(なお)す」。検査で異常が見つかる前の、「なんとなく調子が悪い」段階のうちに、体を整えておこうという考え方です。
症状が落ち着いたあとも、ときどき体の手入れに来ていただく。私は、鍼灸の本当の良さは、そうした日々の養生にあると考えています。
八綱療院別所 院長 柴田 幸昌